藤原正彦先生 最終講義 at お茶の水女子大学

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       最終講義後 花束を贈られて             
この写真は、3月14日(土)午後、33年間勤められたお茶の水女子大学をこの3月退官された理学部数学科の藤原正彦教授の最終講義の貴重な記念写真。 本当に残念ながらこれは私自身が撮ったのではなく、私がお願いして代わりに?行ってくださった、ある専門誌の編集長が撮ってくださった写真である。

私は10年も前から、いいえ、ここ数年は特に、藤原正彦先生の最終講義には絶対出席するのだと固く決意していた。(去年2008年のお茶大の第1回ホームカミング・デイ(5月31日)で先生の徽音堂での講演も、富山から日帰りで聞きに行ったのだ)
暮れごろから大学のHPなどチェックしてしっかりアンテナを張っていたつもりだったが、ふと気を抜いてしまって、その重大な日を知らせてくださったのは、国立高専の非常勤控え室で共に藤原先生の大フアン(つまり著書はほぼ全部読破)を称する富大の数学の古田先生だった。お茶大HPを見ると、何と講演のあと希望者は懇親会まであるというのだ。

ところがところが、その3月14日はどうしても空けられない予定が入った。その数学のK先生も予定があるというし、本当に悲しくなってしまった。これは藤原先生が大学で行なうまさに最後の講義なのに。去年のお茶大クラス会でも、作家藤原正彦に私ほどはまっている人はいなかったし、代わりに聞いてくれる人は誰に頼んだらいいのだろう。

と悩んだ末に思いついたのが、『剱岳 点の記』を通じてお知り合いになった「月刊測量」の編集長浦郷氏だった。快諾され、ご自分の仕事も兼ねて行ってくださるというので万々歳。写真も撮ってくださるし、しかも、私にその貴重な講義の録音テープを聞かせて下さり、ついでに「月刊測量」4月号の記事にするためのテープ興しの光栄な大役まで授かった。かなり聞きにくいテープであったが、せっせと興したのは言うまでもない。

そして、昨日発売の文芸春秋5月号にもこの最終講義が全部掲載されたのだった。
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                        2009年5月号260pに
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        “感動の退官講演「父・新田次郎の背を追って」”
あ、こういう見出しがつくんだ・・。と、プロの編集を改めて思った。そして当然、文章のところどころの流れの組み換えも、また不要な部分の削除も、そして補足もあった。講演というのは話し言葉であるから、それをそっくり文にしたらおかしくまた重複になる。改めて文字で読むと、テープで聞こえなかったところがわかってすっきりしたし、また「え、こんなこと聞いてないわ」というくらい私の耳は頼りなくどうかしていた部分がいっぱい。でも、お陰さまで記念すべき最終講義を逃さず、藤原先生の過去からの講演5回目の拝聴となって、生の声を聞かせてくださった編集長に心より感謝である。またさすがその彼も、彼の来月発行の月刊誌に「藤原正彦先生の最終講義」として1時間半を7百字程で的確にまとめて書かれている。・・・・以上が最終講義騒動の一幕なり、である。
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              お茶大講堂 徽音堂での最終講義
講演の中身は、今まで彼のエッセイや講演で90%くらいは聞いたことがあったかもしれない。
子ども時代から中高、そして大学、大学院時代、そしてアメリカでの研究生活と文筆活動のスタート、また「数学は美しい」という持論の数学論と、数学と文学の相違等をじっくりと語られながら、感慨深くその半生を振り返られた。 相変わらずのユーモアに会場の爆笑をテープで聞きながら、その場で共に笑い転げられなかったことはやはり返す返すも残念であった! 

そして講演を通して最も印象深かったことは、父・新田次郎への愛と追慕の気持ちだった。先生のように頭脳明晰で心広く明るく強く、自信と信念の人でも・・と・・。

・・・80年2月15日の寒い朝のことでした。
あまりに突然の死とそれに伴う大きな喪失感に、それからしばらくは何も書く気が起こらず数学に取り組む気持ちにもなりませんでした。父の死がこれほどこたえるとは自分でも思っていませんでした。
電信柱に貼られた葬式の広告を見ただけで胸が締め付けられ、霊柩車に出会うだけで息が詰まるような日々でした・・・・・
文学も数学も手つかずのまま、ただ何となく生きているような毎日でした。
これではダメだと必死になって数学を再開したのが83年、父の死から3年が経った頃です。・・・・・・・

はじめ、この文芸春秋の見出し「父・新田次郎の背を追って」を見て、はて、その主要な部分は最後のほうに強くではあるが全体から見ればほんの少し述べられただけだけど・・と思ったのだが、もう1度振り返ってみると、藤原正彦先生の人生というのは父がいたからこそ、であった。まさにこの講演のタイトルが彼の人生の基調を成していると思った。

退官後はどこの大学へ行かれるのだろうというのも大いなる関心であったが、父のように執筆活動に専念するということだった。奥様の命である「お茶大に骨を埋めろ」の言葉通りとなり、私も very happy である。

ところで今朝の朝日新聞朝刊に、『劔岳 点の記』の前売り券全国発売開始という大きな広告が載った。父の原作のこの映画に藤原先生が長い推薦のことばを寄せている。
「・・・・・この映画を見てその迫力に圧倒された後、これを一番見てほしかったのは父だ、としきりに思った。」
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           4月11日(土)朝日新聞朝刊 左上に推薦文

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